事業規模に応じた労務管理支援のご提案

一般事業主行動計画

従業員数101人〜300人

一般事業主行動計画とは

一般事業主行動計画は、企業が従業員の仕事と家庭の両立を支援し、働きやすい職場環境を整備するために策定する計画のことです。この計画は、男女共同参画社会の実現や、次世代育成支援対策推進法に基づく「次世代育成支援」の取り組みを推進する目的で作られています。
企業は、労働者が育児や介護と仕事を両立しながら働けるように、育児休業の取得促進や働き方の柔軟性向上など、具体的な目標を設定し、その実現に向けた取り組みを計画します。これにより、企業の社会的責任を果たし、従業員の定着率向上や働きやすさの向上を図ることができます。

一般事業主行動計画の背景と目的

法律に基づく義務

次世代育成支援対策推進法により、101人以上の従業員を雇用している企業には、一般事業主行動計画を策定し、届け出る義務があります。これにより、企業が育児や介護を支援するための取り組みを促進し、子育てをしながら働く従業員の支援を強化することを目的としています。
企業規模が100人以下の企業には義務はありませんが、積極的に行動計画を策定し、働きやすい環境づくりを進めることが推奨されています。

多様な働き方の実現と社会的な役割

少子高齢化が進む中で、子育てや介護をする人が安心して働ける社会を実現するためには、企業が従業員の多様な働き方を支援することが必要です。一般事業主行動計画は、そのための具体的な取り組みを明確にし、企業の社会的役割を果たすための手段となります。

行動計画の主な内容と策定の流れ

一般事業主行動計画には、企業が従業員の仕事と家庭の両立を支援するための目標や具体的な取り組みが記載されます。策定する際の流れは以下の通りです。

1.現状の分析

まず、企業内の育児休業取得率や労働時間の状況、従業員のニーズなど、現状を分析し、どのような課題があるかを把握します。これにより、効果的な行動計画を策定するための基盤を作ります。

2.目標の設定

企業は、具体的な目標を設定します。例えば、「男性の育児休業取得率を5%以上にする」「フレックスタイム制度を導入し、働き方の柔軟性を向上させる」といった具体的な数値目標を定めることが多いです。

3.具体的な取り組みの計画

目標達成のために必要な具体的な取り組みを計画に盛り込みます。これには、育児や介護のための休暇制度の導入、テレワークや時短勤務制度の拡充、職場の育児・介護支援のための研修実施などが含まれます。

4.計画の届け出と公表

行動計画が策定できたら、所管の労働局に届け出を行います。届け出後は、企業のホームページなどで計画を公表し、従業員や社会に向けて取り組みを周知します。

5.実施と評価・見直し

計画に基づいて取り組みを実施し、定期的に進捗状況を評価・見直しを行いながら、必要に応じて計画を修正していきます。これにより、継続的に改善を図ることができます。

行動計画に盛り込むべき主な取り組みの例

育児・介護休業制度の拡充

育児や介護のための休暇取得の促進や、取得後の円滑な職場復帰のためのサポート体制の強化を図る。

短時間勤務やテレワークの導入

短時間勤務制度やテレワークの導入によって、働きながら育児や介護に取り組みやすい環境を整備する。

男性の育児参加促進

男性も育児に積極的に参加できるよう、男性の育児休業取得を推進し、職場の理解を促進するための研修や啓発活動を行う。

フレックスタイム制度の導入

フレックスタイムや時差出勤制度を導入し、柔軟な働き方ができるようにすることで、従業員のワークライフバランスを支援する。

一般事業主行動計画のメリット

1.企業のイメージアップ

行動計画を策定し、実行している企業は、働きやすい職場環境を整えていることを社会に示すことができ、企業のイメージアップにつながります。また、採用活動においても「従業員を大切にする企業」としてアピールでき、優秀な人材を引きつける要因となります。

2.従業員のモチベーションと生産性の向上

育児や介護などの事情があっても、仕事と家庭を両立できる環境が整っていることで、従業員のストレスが軽減され、モチベーションや仕事の生産性が向上します。

3.従業員の定着率向上

働きやすい環境が整っていると、従業員が長期間にわたって安心して働き続けることができるため、企業の定着率が向上します。これにより、企業は長期的な成長と安定した経営が可能になります。

まとめ

一般事業主行動計画は、企業が従業員の働きやすい環境づくりを推進するための具体的な取り組みを計画し、それを社会に示すためのものです。特に育児や介護と仕事の両立をサポートすることで、従業員が安心して働ける環境を整え、企業のイメージアップや生産性向上につなげることができます。
企業が積極的に行動計画を策定し、従業員の多様な働き方を支援することは、社会全体にとっても価値のある取り組みです。企業としての社会的責任を果たしながら、健全で持続的な成長を目指しましょう。

藤井 健介

監修:藤井 健介

社会保険労務士法人 日本経営労務 代表

特定社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・MBA

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